2015年 表紙

 今、子どもを取り巻く環境は厳しさを増しています。1998年から3回にわたり、国連の子どもの権利委員会は、日本政府に対して「日本は子どもの権利が守られていない」という勧告を出しました。子どもの権利には「生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利」の4つがあることを知ったうえで、私たち大人は子どもが大切に守られていないこの現状を深く見つめる必要があります。
 子どもたちが安心して過ごすことができる平和な世の中を持続させるためには、世界に誇るべき「憲法9条」は守り続けなければなりません。また経済的な貧困だけでなく、愛情や心、社会的つながりまでをも危機にさらす「子どもの貧困」は深刻です。そして子どもの虐待、体罰やいじめという名の暴力は、子どもたちを苦しめています。こうしたストレスの多い子育て環境のなかで、子どもたちは自己肯定感を持つことができずにいます。 2015年4月から施行される「子ども・子育て支援新制度」は、これまでの教育、保育、子育て支援に対して大きな変化と後退をもたらしかねないと危惧しています。私たちはどんな保育制度になろうとも、日本の将来を担う子どもたちが健やかに成長するため「児童憲章」や「児童福祉法」の理念が守られるよう見守っていきたいと思います。
 また、私たちが決して忘れてはならないこととして2011年3月11日の東日本大震災・福島原発放射能漏れ事故があります。この体験からは、人として生きていくために本当に大事にしなければならないものは何かを問われました。それは何よりも失われて初めて、日々空気を吸い、風にあたり、水を飲み、食べ物を食し、土に立つという、当たり前のように思っていたことが、それは実に有難い日常であったことと知らされました。私たちはこの事実を決して風化させてはなりません。
 この保育カレンダーの絵からは、子どもの輝く命のほとばしりが感じられます。私たちはこれからも「子どもたちが安心して、子ども時代を子どもらしく生きられる」当たり前の社会の実現を願い、保育カレンダーの製作と普及に努めてまいります。
▲6歳10ヵ月の女の子(6年保育) 鷹巣ひかり保育園(福井県福井市西二ツ屋町9−8 0776−86−1066 園長 鳴海 理了)
 鷹巣ひかり保育園(定員90名)は福井市の海岸線沿いに位置し、海と野山に囲まれた自然環境に恵まれた所にあります。お寺を開放して始めた保育園は、無認可23年を経て今年認可26年目を迎えます。2012年(平成24年)4月には隣接する坂井市に民間移譲を受けた三国ひかり保育園(定員120名)が開設されました。「どの子も育つ保育」を求めて「身体と心の育ち」にこだわってきました。その間、保育観を一致させ積み上げてきたこともあり、一年一年子どもの育ちに手ごたえが感じられるようになってきました。同時に、保護者の意識も高まり、保育園を支える大きな力となっています。
 今年の年長は22人。小さい頃から野山をかけめぐり、散歩の中でたくさんの自然物をみつけ、豊かな経験の中で自信と体力をつけてきた子どもたちです。年長になってからもその季節にしかできない経験を大事に、一つひとつみんなでやりとげることを積み上げてきました。また、絵を描くことが大好きなクラスで、小さい頃からたくさん描いてきました。
 この子は10ヵ月入所です。何に対しても一所懸命に取り組み、もっと素敵になりたい!そんな気持ちを持ちながら色々なことに意欲的に挑戦していった子です。仲間に優しく、みんなから頼られる存在でした。
 この絵は『おおきなきがほしい』のお話を聞いて描きました。

発行:保育カレンダー編集委員会 
福井県坂井市三国町楽円53-3(三国ひかり保育園内) 
TEL 0776-81-6565 FAX 0776-81-6566 
ホームページ http://www.hoiku-c.net/

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定価1200円

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