2005年9月
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▲6歳11ヵ月の男の子(6年保育) |
無認可保育園で親と共に運営している保育園です。 この絵を描いた子どもは、思いついたら即行動、何でも1番にやりたがり、仲間の子どもたちはいつも譲ってしまい、8人の年長集団の王様的存在でした。ところが7月に妹が生まれ、兄弟が5人になると(この子は3番目)給食を食べる時も遊ぶ時も、1日中担任から離れられなくなり、自分の意にそぐわないことがあると怒り、泣き、ひっくり返ってだだをこねるという状態になってしまいました。担任は戸惑い悩みましたが、職員会議で話し合い、母親とも懇談を重ねました。家では「甘えない、手のかからない子どもである」ということでしたが、保育者は“赤ちゃん返りである”と理解し、“突き放すのではなく、この子に寄り添っていくこと”を大事にするということを確認しました。 それからは、母親が登園時に一緒に雑巾がけをしたり、おふろに一緒に入ったり、この子と向き合う時間を作りました。保育園では今まで以上にこの子の要望を受け入れ、ていねいに関わる様に取り組みました。そうするうちに、今までこの子どもに遠慮していた年長の仲間たちも、次第に自分の気持ちを出し始め、「おかしいよ」「ずるいよ」ということも言えるようになりました。クラスの子どもたちが、自分たちで話し合いもできるようになり、トラブルも自分たちで解決したり、ルールのある遊びを楽しんでできるようになりました。 このことから保育者は、子どもに真剣に向かい合い認めること、保護者と相互理解し、共に育てる姿勢が大事であることを学びました。この絵は『王さまシカのねがい』を描いたものです。 |