2011年 4月


▲4歳9ヵ月入園 初めて描いた絵

▲5歳 友だちと楽しく遊び始めた頃
 自分と友だちを描く

▲5歳6ヵ月『くじらのしま』のお話を描く

▲5歳11ヵ月『ホップ・ステップ・ジャンプ
 くん』のお話を描く
▲6歳2ヵ月の男の子(1年6ヵ月保育) さくら保育園
(宮城県大崎市古川稲葉1丁目10-33 TEL:0229-22--2936 園長 武川 裕子)
 無認可保育園8年を経て、個人経営で認可を受け、その年に有限会社経営に移行した定員60人の保育園です。電機部品製造会社の工場を改築し、園舎にしました。認可を受けた年に「さくら・さくらんぼ保育」を実践し8年目になります。保育園は国道4号線に面しており、環境は決して恵まれてはいません。バスを使って森林や河川などに出かけ、自然の中で全身を使った遊びを充実させ、しっかりとした子どもの身体作りを心掛けてきました。と同時に、子どもの描く絵に向き合い、発達を学び保育を考えてきました。年々、子どもの絵が日々の生活の楽しさを物語るものに変化してきました。
 この子は2人兄妹の兄で、4歳8ヵ月で入園した自閉症の子どもです。母親は妹だけを連れて保育園見学し、兄のことは言い出せずにいました。しかし、年長の子どもたちの生き生きと雑巾がけをする姿やリズム遊びの楽しそうな表情を見て、兄も入園させたいと思い2ヵ月間母子通園しました。入園当初は偏食があり食が細い状態でした。また就寝時間が遅いので、朝はゆっくりと寝かせてあげたいという母親の気持ちがあり、8時過ぎに起きていました。テレビ・ビデオの視聴も多く、自分の意にそぐわないことがあると感情をむき出しにすることもありました。まずは、家庭と一緒に「早起き早寝・遊ぶ・食べる」などの生活の基盤をしっかり作っていくこと、この子のもっている困難さを認めながら思いを受けとめ、担任や友だちや保育園が大好きと思える関係作りを大事に進めてきました。2月の交流保育の時、2人で手をつなぐリズムや集団リズムには友だちから誘われて笑顔で関るようになりました。卒園前には仲間集団の中で「自分もみんなと一緒にやりたい」という思いが育ち、課題に取り組む姿に変っていきました。
 母親は初めて参加した懇談会の中で「うちの子は自閉症です。迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」と涙ながらに話しました。「この保育園は、我が子だけでなくみんなでみんなを育てる保育園だよ。一緒に育てていこう」と親同士の仲間意識がより一層高まった瞬間でもありました。そして親も年長児12人の子どもたちと共に育ち合い卒園していきました。
 この絵は、園の近くの山に行き、友だちと一緒に斜面を縄跳びで駆け降りながら鬼ごっこを楽しむ様子を描きました。