福島原発事故により、土も水も空気も植物も汚染されました。それまで当たり前と思っていた園庭での泥んこ遊びや散歩は、4歳児クラスの1年間ほとんどできませんでした。
事故から2年目、年長になってから、少しずつ外に出る保育ができるようになってきました。現地を下見して放射線量を測定するところから始まり、そこに6歳の子どもを連れて行って大丈夫なのか。どんな配慮が必要なのか出来るのか。職員集団、保護者とも何度も話し合いを重ねながら原発事故後の新たな保育を模索してきました。子どもの生命を守り、子どもの成長を願う保育を実践することの難しさを痛感した1年でもありました。
この子は三人姉妹の末っ子です。園ではよく遊び、生活をリードする力がありました。年長になり様々な課題や活動を経験する中で、それらに挑戦し乗り越えることを通して自信をつけてきました。運動会の時には跳べなかった跳び箱縦5段を目標にして、黙々とタイヤとびをし跳び越せるようになりました。足がなかなか伸びなかった側転は、交流園の仲間の中でも、緊張せず笑顔で友だちづくりができるほど心も体も開け、卒園期にはのびやかになりました。
絵を描くことが大好きで、水彩画は集中して何枚も描いていました。この絵は『ホップ・ステップ・ジャンプ君』のお話の情景をイメージし丁寧に描き上げました。