保育カレンダーc
リズムあそびを楽しむ子どもたち
心身の豊かな育ちを促すために
保育カレンダー編集委員会に集う全国各地の保育園では、リズムあそびを保育実践の中心に据えています。このリズムあそびは「さくら・さくらんぼ保育園」(埼玉県深谷市)を創設した斎藤公子氏(1920~2009年)が実践提唱したものです。子どもの姿勢の悪さや運動不足などがもたらす様々な身体と心の問題が叫ばれつづけています。リズムあそびには、子どもの身体と心の発達に必要な要素がたくさん入っています。どのリズムあそびも、楽しみながら身体を動かしたくなるものばかりです。今や全国の保育園に広がりを見せています。
今回はそんな「リズムあそび」を特集します。
リズムあそび
さくら・さくらんぼ保育園のリズムあそびは、かつてアメリカで行われていた「律動」と戸倉ハル氏の考案による「自由表現・集団あそび」、小林宗作氏から学ぶことのできたダルクローズの創案した「リトミック」の三つを原型にしています。さらに斎藤公子氏は、自然界の生物進化発展の法則に則ってリズムあそびを創造発展させました。
子どもは絶えまない自発的な運動の中で、自らを育てていきます。リズムあそびを行う時は、乳児期からの模倣する力を大事にします。また子どもの体の自然をよく観察し、決して無理をさせないように配慮します。
斎藤公子氏は「0歳から6歳までの運動は、単に身体づくりが目的ではなく、脳の発達のためつまり知的発達のために大変重要なものとして位置付けられている。それは、運動神経は感覚神経とともに脳中枢でつながり、両神経の発達が脳中枢の発達を促すからである。しかも就学前の6年間は、その脳中枢のもっとも発達する時期であり、6歳までで大人の90%に達すると言われている。触覚、視覚などの感覚神経と、手や足などを動かす各運動神経を発達させることが、就学を可能にする脳の発達を促す土台になる」と述べられています。
土台のリズム
直立二足歩行を可能にし、全身を支えるためには、足指で地面をけり、背骨のしなやかさが非常に重要な役目を果たします。そのような力をつけるリズムあそびが「金魚」「どんぐり」「両生類のハイハイ」等と呼ばれているものです。
いっしょに金魚
ハイハイ
かめ
金魚
あひる
どんぐり
両生類のハイハイ
自ら生きる力に
楽しみながら毎日リズムを積み重ねることで、体幹や足腰がしっかり育っていく様子が分ります。体力がついてくると、自分に自信が持てるようになり、遊びも意欲的になります。友だちへの思いやりや関わりも豊かになり、掃除やお手伝いも積極的になり、自ら生きる力にもつながっていきます。
めだか
手押し車
お舟
自転車こぎ
竹馬
仲間と遊ぶ
赤ちゃんとお母さんのあやしあそびから始まり、次第に友だちとの遊びになり、わらべうたあそびなども楽しくなります。共感し力を合わせることが上手になります。
金太郎
汽車
四拍子であるく
じゃんけん
馬とび
年長のリズム
手先から足先まで自由に動かせるようになった年長児後半期には、その発達をさらに高めていくリズムあそびに取り組みます。年長さんの側転やとび箱を跳び越える姿は、小さい子たちからの憧れです。
なわとび
戸板のぼり
跳び箱
逆立ち
側転
荒馬
かもしか
リズムあそびに取り組んでいる保育園では、床は触れて木の柔らかさ温かさがある檜(ひのき)で、足指のけりと足裏の感覚を大切にするため、夏も冬も素足で行っています。服装は腕や脚が自由に動くように、年間を通じて半袖、半ズボンで行っています。外でも、口ピアノで(うたって)遊びます。命令や指示をなくし、子どもたちの自発性、やる気を大事にします。