保育カレンダーc
3歳の子どもの世界
歩行が確立し視野が広がる1歳児は、見るもの聞くものをまねて、自分でやりたがります。2歳児になると世界が広がるとともに、自己主張が強くなり何でも「自分で」「イヤ」と主張し、大人から禁止されること命令されることをきらいます。
3歳になると、着脱や食事などの生活する力も自立します。急激に語彙も増え会話も豊かになり運動能力もしっかり発達していきます。自己を持ち、大人に反抗したり、友だちとけんかをしたりとぶつかり合う時期です。話しあって相手の意見も聞く中で、自分と同じように自己主張する相手がいることを認識し、“譲る”“我慢する”“許す”“感謝する”など集団生活に必要なことを学び始めます。
日本では2~3歳に見られるこの時期を「反抗期」と呼び、親のいうことを聞かない困った時期ととらえがちですが、欧米では「独立期」と呼んでいるそうです。つまり親から独立するための時期ととらえているのです。この時期の自己主張が十分に発揮されてこそ、やがて4歳半頃の「いやだけれどもやってみる」という自制心につながっていきます。親や周囲の大人のいうことを聞く「いい子」は自分で考え行動する力が育ちにくいのです。
3歳という年齢は、ほとんどの子どもが幼稚園や保育園生活に入る時期でもあり、親も“うちの子”と“よその子”を比べたり「3歳では遅すぎる」と早期教育をあおる育児情報に振り回されがちです。しかし子どもの育ちには順序性があります。「できるできない」や、目に見える結果ばかりにとらわれず、身体の育ちや言葉、仲間との関り、生活する力などを一つひとつ積み上げていくことが大切です。保育園や幼稚園では、子どもたちが五感(触覚、聴覚、臭覚、視覚、味覚)を使って遊び、友だちと「おもしろかった!またやりたい!」と思えるような生活を大事にしています。3歳の子どもの世界は、生活や遊びをとおして仲間と楽しさを共感する中で豊かになっていくのです。
リズムあそび
3歳になると身体の重心線が安定してきて、全身の運動機能が高まり“やりたがりや”“しりたがりや”の時期を迎えます。ピアノの音に合せて楽しみながら身体を動かす「リズム遊び」は子どもたちの大好きな遊びです。年長児の動きに憧れて、早く走る・かかとを上げてのアヒル歩き・とんぼになって片足バランスをとる・スキップなど、様々な動きをして遊ぶことで、より機敏さや力強さを増していきます。
生活
友だちや大人の真似をして、なんでもやりたい気持ちが強くなります。雑巾がけやお花の水やりなど大人のお手伝いや食事の用意もします。手だけでなく指先もつかえるようになってきて、着替えや食事も上手になります。自我が強くなりけんかも多くなりますが、友だちと一緒にいることが大好きです。言葉が豊富になり、おしゃべりが楽しくなります。
あそび
全身を使って動きたがりやの3歳の子どもたちは、高い所を見つけては登ったり、ジャンプしたりを繰り返し楽しみます。木登りや高い所が大好きで意欲的に登りますが、危険に対しての判断力は不十分なので大人の配慮が必要です。
1人より2人、2人より3人で遊ぶことが多くなり、ごっこ遊びと、簡単なルールのある遊び(おにごっこやかくれんぼなど)も楽しむことができます。
描く
2歳になった子どもは、言葉が増えはじめ描く絵にも丸が出てきます。仲間と遊ぶことが楽しくなった3歳の子どもが描く絵には、丸から複数の人間がではじめます。保育園などで毎日たっぷり友だちと遊んでいる子は、画面いっぱいに友だちを描くようになります。
部屋の中で、テレビ・ゲームや車やお人形のおもちゃ遊びの中からは、友だちの絵は生まれてきません。早期教育の中では、大人のいうことをきく「いい子」が求められ、自らのイメージや想いを出していく「描く力」は育ちにくくなります。